リハビリ特化型デイサービス(短時間)の今後について考える
一般的に「リハビリデイ」と呼ばれる、リハビリ特化型デイサービスは、ここ7〜8年で大幅に増えてきています。保険給付が増大しているため、近年の介護保険改定で10%を超える報酬単価の引き下げが行われてきています。平成30年度の介護保険法の改定でも、単価の引き下げが濃厚となってきていると言われていますが、リハビリ特化型デイサービスは今後どうなるのでしょうか?
今回は、リハビリ特化型デイサービスの今後について考えていきたいと思います。
リハビリ特化型デイサービスが何故こんなに増えたのか?
リハビリ特化型デイサービスが増えた理由は、大きく分けると「少額での開設が可能」「看護師の配置義務がない」「接骨院や整骨院からの転換」この3つに分けられると思います。
次に、この3つのことについて、細かく説明していきます。
少額での開設が可能
リハビリ特化型デイサービスが増えた理由はいくつかありますが、最大の理由は初期費用が安く抑えられると言う点です。通常規模のデイサービスの初期費用は、規模にもよりますが、下手すると億単位の費用がかかります。
その点、リハビリ特化型デイサービスを含む小規模デイサービスは、一年分のランニングコストをいれて1,500万円ぐらいで開設をすることができます。この参入のしやすさが、フランチャイズ型の仕組みを作り、増加した一番の理由だと思います。
看護師の配置義務がない
小規模のデイサービスには、看護師の配置義務がありません。そのため、リハビリ特化型デイサービスでは通常のデイサービスのように、看護師の確保に苦労することがないのも理由にあげられると思います。
接骨院や整骨院からの転換
新規立ち上げに際し、接骨院や整骨院などからの転換や併設事業者がかなり多くありました。柔道整復師等が機能訓練指導員としての人員となるので、あまり手間がかからずに転換や併設ができることも一因だと思います。
新たに介護保険に活路を見出し、参入してきた事業者が増えたということに関しては、利用者さんからすれば、選択肢が増えることにもなり、良いことだとは思います。
ただ、その一方で利用者獲得にのみ目を向け、本来の介護保険でのモットーである自立支援に向けて真剣に考える事業者がどのくらいあるのかは、正直なところ掴めない現状です。
報酬単価の引き下げにより赤字経営!?
近年の介護保険の改定で、小規模デイサービスの単価が10%以上引き下げられるとともに、要支援認定の利用者さんが日常生活総合事業に切り替えとなりました。
これにより、地域によってはかなりの収益低下もみられ、赤字続きで閉鎖していく事業者が増えたと聞いています。平成30年度の改定でも、報酬引き下げが濃厚のため、さらに閉鎖に追い込まれる事業所が増えていくことが予測されます。
私が今後リハビリ特化型デイサービスに期待すること
リハビリ特化型デイサービスに関して、まずは、機能訓練指導員をPTかOT等の、リハビリ専門職種に限定してもらいたいと考えます。看護師や柔道整復師を否定するわけではありませんが、専門性が違います。
現在の予防事業の縮図としては、65歳以上全体の一次予防、健康度チェックリストによりあがってきた二次予防、さらには要支援の認定の総合事業となっています。
現在のリハビリ特化型デイサービスでは、自事業所のみで完結させることが、当たり前になっていて、いくらその人の状態が良くなっても、卒業をさせるという発想がありません。この仕組みのままでは、介護給付は永遠に増大していきますよね。
リハビリ特化型デイサービスが、地域の体操教室やサロンなどとうまく相互関係を保ち、行き来させていくことが大事だと思います。そのためにも、PTやOTなどのリハビリの専門職がしっかりと評価を行うことが不可欠になると思いますし、そうなってほしいです。
まとめ
平成30年度の介護保険改定で、さらに厳しい報酬単価になりそうな、リハビリ特化型デイサービスなどの小規模デイサービス。地域密着事業になったことにより、今までとは違った意味での事業展開が必要になってきます。これからも生き残るには、予防事業としての役割をしっかりと果たしていくことが、唯一の生き残りの道かもしれません。
デイサービスの種類や仕事内容についての記事もあるので、就職・転職を考えている方は目を通して、参考にして下さい。