まじかいご。

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今も記憶に残る介護の体験~ショートステイ編~

ショートステイは、在宅で生活する利用者さんには、欠かせない在宅サービスです。ショート利用をすることで、個々に抱える在宅での様々な問題が、解決できる利用者さん、その家族も多くいます。

今回は、ショートステイの現場で働く2人の職員に、忘れられない体験談を聞いてきました。

私が言った一言で…

最初に話を聞いたのは、大学卒業後に介護職の業務に就き、まだ日の浅いKさん。

Kさんは、もともと大学卒業後、すぐに社会福祉士の資格を取得。相談援助業務に就きたいと考え、就活に頑張っていたそうです。しかしそれが叶わず、特養施設に併設されたショートの介護員として働き始めました。そのKさんが、まだ働き始めたばかりの頃の苦い経験を聞かせてくれました。

重度の認知症で、自宅でも昼夜関係なく徘徊を続ける90代のSさんが、ショートに初入所された時のこと。長年自宅で、高齢の奥さんが、ひとりで介護していたため、担当ケアマネが長い月日をかけ、妻を説得し、やっとショートの利用につなげたばかりだったそうです。

もちろんSさん自身も、新しい環境にすぐになじめる訳がなく、初日から、夜間もほとんど寝ずに、一晩中フロアを歩き回っていました。私も夜勤に当たった晩には、一晩中その対応に追われ、正直疲れ切っていました。

Sさんが、数日間の利用を終え、退所する当日、私は迎えに来た奥さんに対し、あまり考えもせず、 「Sさんは、本当に夜間も寝ないで歩き回るのですね。奥さんも大変。他の利用者さんの部屋にまで入ろうとするので、みんなで大騒ぎしました。」と、声をかけました。

奥さんは、本当に申し訳ないと会う職員みんなに頭を下げ、帰っていきました。それ以来、しばらくの間、ショートの利用をやめてしまったのです。

仕事でほんの数日間の援助をした私が、24時間365日、世話をしている奥さんの気持ちを傷つけてしまい、本当に胸が痛みました。相談援助の仕事を目指していましたが、こんな私にはまだまだ早いと反省する経験でした。

息子の死にかける言葉が見つからない

最後に長年ショート専門の施設で働くYさんが、忘れもしないショートの利用者さんとの話を聞かせてくれました。

息子さんと、長年2人暮らしの利用者のHさん。認知症の進行により、息子さんが、定年後家事、介護一切を行っている毎日。そのため、息子さんが息詰まらないようにと、月の数日間は、ショートを利用するプランが担当ケアマネにより立てられていました。

ある日、ケアマネから息子さんが交通事故に遭い、救急搬送されたとの連絡あり。Hさんは、自宅でひとりで生活できないため、私の施設で緊急ショートとなったのです。もちろん、認知症状のあるHさんは、その事態を知る由もなく、いつもと変わらず楽しそうな様子で過ごされていました。

事故の翌日、息子さんが亡くなったことを聞いた私達職員は、その後遠方の親族が迎えに来るまでの数日間、何も知らずに笑顔で話しかけてくるHさんに、職員全員が、涙をこらえて笑顔で対応したことを今でも覚えていますと…。

まとめ

ショートステイは、特養施設のように、終の住処ではありません。だからこそ、入所された利用者さんに、少しでも穏やかな時間を過ごしてもらい、元気で自宅に戻れるよう配慮が必要だということ。

また、日頃必死で介護している家族に対しての言葉かけにも、心配りが必要だと、2人の話を聞きながら感じました。

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