まじかいご。

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今も記憶に残る介護の体験~訪問看護編~

介護保険サービスである訪問看護師は、病院の看護師とは違い、ひとりで在宅の利用者さんの家を訪問し、そこで支援を行ないます。高齢化により、独居や高齢者世帯もますます増えている中で、訪問看護師の役割も大きくなっています。

今回は訪問看護ステーションで働く職員から、心に残る話を聞いてきました。

老老介護、ほかに方法はなかったのか…?

近年、自分自身または自分の親の最期は、病院ではなく自宅で看取りをという人が増え、在宅療養を選ぶ利用者さんや家族も増えてきました。そういう利用者さんの在宅療養を支援したいという思いから、訪問看護師の道を選んだDさんに話を聞きました。

半年以上前から、在宅で寝たきり状態の80代後半のAさんは、長年、5歳違いの妹さんとふたり暮らし。世間でよく言われている老老介護です。

Aさん本人はもちろんのこと、妹さんも「お姉さんは病院に入院はさせずに、このまま自宅で最期まで過ごさせたい。」との強い意向を持っていました。もちろん介護保険のサービスは利用していましたが、どうしても同居する妹さんの力に頼るところも多くあったのです。

しかし月日が経つにつれ、Aさんの全身状態は低下していき、呼吸状態も悪化傾向。Aさんの苦しい表情をずっと見てきた妹さんとしては、少しでも呼吸を楽にしてあげたいとの願いから、入院させることを決めたのでした。

しばらくして、入院したAさんの状態を妹さんが報告してくれたのです。

「姉のためを思って入院させたのですが、チューブだらけになり涙が出ました。」とのこと。Dさんは訪問看護師として、あの時入院という方法を選ばずに、在宅で過ごせる方法がなかったのか、今も思いは残っているといいます。

何もないところから、援助を開始する醍醐味

在宅は、病院や施設のように、住環境が整備された家ばかりではないことを、訪問看護師になり体験したというBさんの話です。

利用者さんの状態から、どうしても福祉用具等入れる必要性があっても入れることができない、また自宅に浴室があっても本人の状態により使用できないなど、様々な環境の中で生活している利用者さんがいます。Bさんが訪問看護師として担当したKさんも、まさにその一人でした。

Kさんは、強直性脊椎炎という病気により、関節などが動かなくなり背骨が曲がらず、体が一本の棒のようになっている状況のため、いつもベッド上で寝たきり状態。今まで介護サービスも受けていなかかったため、家族が世話をしていましたが、細かい部分まで目が行き届かず、長年清拭だけで過ごしていたとのこと。

身体は象のように皮膚が固くなり、動かすたびに粉が散り落ちる。また、髪の毛も皮脂で固まり、フケだらけの状態でした。

Bさんに依頼された援助内容は、まずは全身状態のチェック、そして身体保清からのスタートでした。もちろん現状では、訪問入浴に繋げられるだけの室内環境ではないため、まずはできることから始めていくことになったのです。

そこからがBさんの腕の見せ所。ケアマネや訪問介護のヘルパーさんと協力しながら、自宅にある、あらゆる日用品を利用して、ベッド上での洗髪、足浴、手浴等を行ないました。

徐々に黒ずんでいた身体や髪もきれいになり、Kさんはもちろん、家族も本当に喜んでくれたことを今でも思い出すそうです。

訪問看護師になりきれなかった…

最後は訪問看護師の仕事をスタートさせたものの、その難しさに続けることができず、退職したCさんの話です。

Cさんは、結婚前までは病院の看護師として働いていましたが、妊娠がわかりそれを機に退職をしました。そんなCさんが、訪問看護師の仕事に再就職を決めた理由は、訪問看護師であれば病院のように夜勤もないし、子育て中の私にもできるのではないかという単純な理由だったのです。

しかし実際に働き始め、すぐにそんな甘いものではないことを知りました。訪問看護師は、利用者さんの自宅に、自分ひとりで行かなくてはならない仕事。先輩からは「昔病院でやってきたことと同じ。あとはひとりで行くことに慣れること。そして少しずつ患者さんをみる力をつけていけば大丈夫。」とアドバイスをもらいました。

しかし、自宅で療養されている利用者さんの中には重度な方も多いこと。また、自分の話や説明を十分に理解できる家族ばかりではないこと。その中で、医療処置が増えていったり、突発的なことが起きた場合の対応等することに対し、不安だらけの自分がそこにいました。

最終的には、自分の力量不足を痛感し、退職することになりました。

まとめ

年々、在宅療養をする利用者さんが増え、サービス面や医療ニーズなど、家族から要求されるレベルも上がっています。訪問看護師も介護職と同様に、様々な体験を通して、成長をしていくと思います。

こうした経験を積んだ介護職と医療職の連携があってこそ、チーム全体で利用者さんの在宅療養を支えていけるのです。

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