まじかいご。

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介護保険サービスの囲い込みの現状

ここ2~3日、サ高住の囲い込みが話題になっています。これは、今回急に出てきた話ではなく、以前からそういう囲い込みの問題は起きているのです。ケアマネとして働く私が、実際に自分のまわりで、囲い込みと感じている現状をお伝えしたいと思います。

中立公正な立場のケアマネが作るケアプランのはずが・・・

居宅介護支援事業所で働くケアマネが、利用者さんを担当し、一連のケアマネジメント業務で得る収入は、要介護度に応じて一律です。それに加え、ケアマネの担当人数にも上限があるのです。中立公正な立場にたって業務を行うことを求められるケアマネが、実際には単独のケアマネ事業所として独立できるだけの利益を得ることはできません。

そのため、介護サービスと併設していたり、法人内のグループに位置づけられ、自事業所や同じ系列のサービス事業所に、優先的に利用者さんを回すケアマネが多い現状があります。

利用者本位ではなく、事業所本位のサービス提供なの?

介護サービスに居宅支援事業所を併設する、あるいは同じ法人のグループにあるサービスにつなげることも、私は囲い込みだと考えます。しかし、居宅介護支援事業所自体、利益を生み出せるサービスではないため、どうしても自事業所の他サービスに繋げることでで、間接的に収益を上げているのです。

現在は、特定事業所集中減算という制度や、囲い込みを予防するような仕組みもできてはいます。 そのため、ケアマネには、毎月自事業所を利用している数を確認しながら、囲い込み過ぎて減算されないように管理するというおかしな業務まであるのです。

実際にどんな囲い込みが起きているのか

日常的に、ケアマネが抱えている現状を多くのケアマネから聞いてみました。


訪問介護事業所と併設の居宅で働くAさん

利用者に必要なサービスを調整する際には、まずは必ず自社のサービス事業所に依頼をかけることは当たり前。特に訪問介護で、身体介護等報酬が高い援助は、自社に優先的につなげ、集中減算が心配な場合には、生活援助等の援助を他事業所に回すことが暗黙の了解となっている。


法人内に福祉用具事業所がある居宅で働くBさん

利用者の状況や希望を考慮し、このメーカーのこの福祉用具をレンタルしたいと思っても、自社事業所は希望するメーカーの福祉用具の取り扱いがないこともある。本来であればレンタルが可能な事業所に依頼すれば済むことであるが、自社の福祉用具事業所の管理者からは、自社で取り扱う商品で対応するよう求められ、結局利用者さん側に理解を求めたこともある。以前、福祉用具のモニタリングや点検のために福祉用具担当者が訪問した後、新たなレンタル商品が追加される話が利用者さんとの中で、すでに決められていたことには正直驚いた。


福祉用具事業所と併設している居宅で働くCさん。

自分が新人ケアマネの頃、利用者さんの自宅の環境整備に関しては、自社の福祉用具の管理者も必ず同席した。そして住宅改修や福祉用具レンタルの説明から料金に到るまで、言葉巧みに話を進められ、新人ケアマネは、とても出る幕がない状態。何よりも利用者さんは、1割の負担で済むということが、決め手になるのか・・・  結果として、利用者さんに本来必要ないレンタル商品が入れられたり、過剰に住宅改修がされることもあった。  

利用者さんの事を考えるケアマネほど、苦しんでいる

ケアマネのあなたが、利用者さんの状況をアセスメントします。 その結果、その利用者さんに適切だと考える合うサービスや事業所を選んだとしましょう。 それが、たまたま自事業所であり、それが適切なのであれば何も問題はありません。 実際に、自事業所の連携が必要な利用者さんもたくさんいます。

しかし、この利用者さんには、自事業所のサービスでは合わないと判断し、他事業所の利用を優先させた場合、そのことを知った上司から注意されることはありませんか?

まずは、自事業所のサービスを第一に考えることと常に言われているかもしれません。 本当にやりがいを求めてケアマネになっても、自事業所の利益を優先に考えるのでは、モチベーションも下がりますよね。

居宅介護支援事業所の課題

長年同じことが言われ続けていますが、中立公正な立場でサービスを調整するためには、まずは、居宅介護支援事業所単独でも、収益が成り立つ仕組みが必要だと思います。自社のサービスに誘導しないと、自分達の利益が出ない仕組みの方が、逆に問題ではないでしょうか。

まとめ

介護の囲い込みに関しての今回の話題は、ほんのごく一部です。自分自身に深く関わるケアマネの話をもとに記事にしましたが、実際にはまだまだ色々な話もあると思います。介護保険の適正化に向け、やらなくてはならないことが、まだまだ山積の介護保険制度です。

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