介護職がこの時期だからこそ考えること part2:介護福祉士資格取得について
新年明けると、すぐに国家資格でもある介護福祉士の試験があり、今も仕事をしながら必死で受験対策に励んでいる方も多いのではないでしょうか。
介護福祉士の資格取得を目指す方が多い一方で、資格を取得してもメリットが得られない、現在持っている資格でも働くことが可能なので取らないとはっきり言う方もいると聞いています。
昨年度から介護福祉士試験の受験要件に、介護福祉士実務者研修終了が義務づけられたことも受験者が大幅にダウンの要因になっているようです。今回は介護福祉士の資格取得について考えてみたいと思います。
何故介護福祉士が必要とされるのか?
介護事業所が介護福祉士を必要とする理由のひとつに、サービス提供体制強化加算という制度があります。これは平成21年度の介護報酬改定から、サービスの質が一定以上に保たれた事業所を評価するために設けられたもので、この加算を算定するためには、厚生労働省が各サービスごとに定めている基準があります。
介護福祉士の資格、常勤職員、勤続年数が3年以上の者などが一定割合配置されていることが加算算定の条件となっています。 また平成27年度介護報酬改定では、介護従事者の処遇改善に向けた取り組みを一層強化させるため、サービス提供体制強化加算の拡充も行われています。
資格取得が、介護職としての専門的な知識と経験が必要とされるだけでなく、こうしたことからも介護事業所が介護福祉士を積極的に採用する傾向が高まってきているのです。今後もますます介護福祉士の資格取得者は、優遇されていくことになるでしょう。
介護福祉士になると、給与や手当など優遇されるの?
介護福祉士は国家資格であり、専門学校や大学を卒業して取得された方ばかりではなく、現場で実務経験を積んで取得した方々も多くいます。
しかし実際に介護福祉士の資格を取得することにより、給与面にどのように反映されるのでしょうか。
この資料の中の「介護職員の保有資格別賃金」を見る限りにおいては、勤続年数や平均年齢等様々な違いがありますが、有資格者や研修修了者の賃金は、無資格者より明らかに高いという結果が出ています。
さらに介護福祉士の資格を取得すると、毎月の給与に、資格手当がつくと思っている方も多いのではないでしょうか。実際に、介護福祉士の資格手当の金額は、それぞれの事業所によって金額に違いがあります。中にはは資格手当として全く反映されないという事業所もあるようです。
しかし資格手当の有無だけで給与条件の良し悪しは判断できません。資格手当がない、またあってもごくわずかな金額というような場合でも、その分基本給で差をつけているという事業所や役職手当や賞与として資格を考慮している事業所もあるからです。
もちろん資格取得をしたら、まずはそれぞれの事業所ごとに確認が必要です。もし介護福祉士の資格取得後に転職を考えているのであれば、求人情報に「資格手当」と明記され ている場合でも、面接等の場でしっかりと確認することが重要です。
まとめ
来月介護福祉士資格試験を受ける方の中には、すでに資格取得後のことをイメージされている方もいるのではないでしょうか。もちろん資格を取得した後も、今の職場がとても働きやすいので、そのままそこで働き続けるという人もいると思います。
また資格を取得できたら、それを機に新たな転職先を探すと言う人もいるのではないでしょうか。そういった場合には、資格手当の有無だけにこだわらず、まずは基本給や賞与、福利厚生面の確認とともに、自分自身が働きやすい職場であるかどうかなど、あわせて考えていくことが大切です。
最近では、勤続10年以上の介護福祉士に賃金を8万円アップさせるという方針も国から打ち出されていること、また介護の質の向上に向けて新たに認定介護福祉士の資格制 度も始まりました。現状では、さらに経験を積み、ケアマネを目指す方も増えています。
確かに今、目に見えるメリットとしては決して多くはないかもしれませんが、介護福祉士の資格取得のために今頑張っていることは、決して無駄にはならないし、今後の自分自身のキャリアアップにもつながっていくと思います。