まじかいご。

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厚労省が介護給与増と発表!介護従事者処遇状況等調査結果を受け思うこと

4月4日に厚生労働省が発表した「2017年度の介護従事者処遇状況等調査結果」で、昨年4月の臨時改定で導入となった処遇改善可算(Ⅰ)を取得した事業者の従業者の処遇が13,660円増額したというニュースが出ていました。

実際に介護の現場で働いている人からすると、正直実感がわかない人がほとんどで「給与がすごくあがった!!」「これで介護職の人手不足が解消される!!」なんて思っている人は皆無だと思います。

このニュースを見たあなたは、どのように感じたでしょうか?

処遇改善可算で現場が険悪に?

処遇改善可算は、訪問介護やデイサービス等、介護職が働いている事業所が加算を算定することができます。でも実は介護職の処遇のみを改善するというのが現場が険悪のキーとなっているんです。

もちろん事業所にもよりますが、同じ事業所で一緒に働いている事務職や相談員や看護師は、処遇改善の対象とはならず、手当すら出ないからなんです。

しかも多くのの事業所が、その手当を一時金という形で出しているので、もらえない職員にとっては不満の種になることもあるようです。

対処療法より根治療法を!

国は「昨年より介護職員の給与が1万円上がりました!!」「これからも介護職の給与をあげていきます(キリッ)」と伝えています。

そもそも、昨年より13,660円上がったと言ってはいますが、これはあくまでも処遇改善可算(Ⅰ)を取得した事業所に限ってのことですよね。他の事業所はどうなんでしょうか。

とりあえず、処遇改善しているアピールを行い、介護報酬の単価をどんどん下げていくのはやめてほしいです。介護保険の単価が安定しないから定期昇給ができないのです。

3年ごとの報酬改定で10%以上の減額がされる可能性があるのに、職員の給与を昇給させようと思う経営者がどこにいるでしょうか?・・・と書いてて思ったんですが、この現象って日本経済にどこか似ていませんか?

①将来に対する不安があるから貯金をする

②お金を使わないから経済が悪化

③経済が悪化し余計不安になる

①介護報酬が安定しないから職員の給与をげられない

②職員の給与があげられないから職員が確保できない

③職員が確保できないから経営が不安定になり余計給与があげられない

お金を使わない原因を解決するのではなく、お金を使わせる施策をうっても、その場しのぎにしかなりません。

将来の不安という根本的な原因を解決しなければ負のスパイラルからは抜け出せません。介護保険で言うと、どんなに職員の給与をあげようとしても、介護報酬が不安定で企業自体が安定しなければ、根本的な解決はできません。

介護保険でいう質の低いサービスとは何なのだろうか?

私が考える質の低いサービスとは、自律支援の意欲を阻害するサービス満点の事業所です。これが淘汰されるのでしょうか?健康寿命を延ばすためには、自律支援が大事になります。

でもこのことを理解している利用者さんはどのくらいいるのでしょうか?おそらく頭ではわかっている人がいたとしても、自律支援を大事にする厳しい事業所よりも、自律支援の意欲を阻害するサービス満点の事業所を選ぶ人も多くいるのではないでしょうか?

介護度の改善による評価に期待

今の介護保険制度では、良くも悪くも一律の報酬しか得られません。例えばレストランでいうと、高級な肉を使って料理しても、腐りかけた肉を使っても同じ料金しか取れないのと同じです。

いくら良い事業所は加算をとれるからというもっともらしい理由を言われていますが、加算算定には事務作業が必要になり、結局そのために、また残業をしたり、利用者と関わる時間が減るなど本末転倒の事態が起きてしまいます。

私が良いと思っているのは介護度に応じたインセンティブ評価です。今の介護保険の仕組みでは介護度が重くなれば単価が上がり、低くなれば単価が下がります。せっかく状態を改善させたのに事業所の利益は減るというのは仕組みとして良くないと思います。その点を踏まえて、国はしっか りと改善度に対しての報酬設定をするべきだと思います。

まとめ

介護従事者処遇状況等調査結果を受けて思うことは、まずは介護事業者の経営を安定させるために介護報酬の単価の増減を少なくすることが大事だと思います。3年に1度の改定のたびに収益が大幅に変更されてしまっては、職員の定期昇給はできません。繰り返しになりますが、この先対処療法だけではなく、根治療法が必要です。