今も記憶に残る介護の体験~通所リハビリ編~
デイケアは、在宅で生活をしている利用者さんが、必要なリハビリを行なうための日帰りのサービスです。日常生活の中での自立やその人らしい生活ができることを目指し、ひとりひとりに合わせたケアを行います。
今回は、通所リハビリを利用した利用者さんの、心に残る話をお伝えしたいと思います。
諦めていた夢が叶った…
子どもさんが独立した後、夫と2人で在宅生活をしていたKさん。70歳を過ぎてからは、国内外のツアーにひとりで参加しながら旅をするのが楽しみになり、行きたいところがあれば積極的にひとりで出かけていました。
そんなKさんでしたが、今から5年ほど前、旅行帰りに脳梗塞を発症。そのまま入院となったのです。
入院中から厳しいリハビリが開始されましたが、その成果もあり、退院時には左半身に軽い麻痺は残りましたが、体力回復をしたKさんが「また必ず元気になって、旅がしたい」と、会う人ごとに話をしていたのが印象的でした。
退院後にはすぐに、介護保険で通所リハビリを利用開始したKさんは、日増しに元気になり、杖や手すりなどを使えば、屋内外をほぼ見守りなしで歩いて生活できるほどに回復しました。通所リハビリの職員も、本人の「旅がしたい!」という夢の実現を目標に、理学療法士を中心にリハビリ計画を立て、積極的に支援した成果が、しっかり表れていました。
また、Kさんの夫も、杖や車いすでも楽しむことができる旅のツアーの情報を色々と収集しながら、妻の夢の実現に向けて、後押しをしてくれたのです。
病気による後遺症を乗り越えたKさんは、現在夫の同行のもと、まずは近場の日帰り旅行や1泊ツアーからと、少しずつですが、出かけ始めています。
今回のように「〇〇できるようになりたい!」という本人の夢や希望が、その人らしい生活を充たすリハビリになるのだと、Kさんはもちろん、夫やケアマネの私自身も実感しました。
まとめ
今回、病気の発症により後遺症が残ったKさん。それでも、自分らしい生活を実現するための目標を持ってリハビリを続けてきたKさんの努力には、頭が下がる思いがしています。
また、その夢を実現するために、通所リハビリでのリハビリ計画が立てられ実行されたこと、さらに本人の意欲を後押しする夫の協力があったからこそ実現できたこと。
今後も、通所リハビリは「〇〇できるようになりたい!」と願う人達の、その人らしい生活を充たすリハビリをどのように提供していくかが、重要な役割になっていくことと思います。