まじかいご。

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今も記憶に残る介護の体験~グループホーム編~

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グル-プホームは、認知症高齢者が少人数で共同生活する施設です。ここで働く介護士は、認知症状のある利用者が、それぞれに自立した生活ができるよう、必要な支援や見守り等を行います。

この記事を書くにあたり、グループホームで働く職員が私の身近にはいなかったので、以前私がケアマネとして担当した利用者が、グループホームに入所するまでの経緯~入所後の状況をお伝えします。

立ち退きを迫られても…すぐ場所が見つからない

長年民間のアパートでひとり暮らしをしていた80代後半のAさん。アパートはすでに老朽化していて、建て替えの話も出ていたため、他の住人は既に引っ越されて、Aさんだけが居住しているような状態でした。

遠方に住む娘さんがいましたが、母娘の関係があまりよくない状態と聞いていて、ケアマネの私自身も緊急時以外、連絡することもありませんでした。

しかし、Aさんの認知症状の進行により、色々な問題が発生したため、隣の家に住む大家や近隣の人からの不安の声が多く聞かれるようになってきました。

特に、一番の問題は火の不始末。毎日のように鍋を焦がしたり、タバコの火の不始末などが続き、ケアマネの私も、だんだん娘さんと連絡を取り合う機会が増えていきました。

もともと小料理屋をしていたAさんは、「人の作ったものは絶対食べない。」と、ヘルパーや配食のようなサービスは拒否。大家も立ち退きの話を進めたいけれど、今の状態で違うアパートを探せるはずもないため、困り果てるばかり…。

そんな時、以前から相談をしていた役所から、少し遠い場所ではあるけれどグループホームがあると紹介されたのです。

グループホームを見学後、そのまま入所へ…

上記のような事情もあり、遠方の娘さんにも同行してもらい、開所したばかりのグループホームを見学に行くことになりました。入所者は、Aさんのように身体的には元気な女性の方も多く、みな明るく元気に動いていました。

またそこには、介護スタッフの見守りのもとに、お茶碗を洗ったり、お米を研いだり、野菜を切りながら、楽しそうにおしゃべりをする入所者の姿もあったのです。

料理が大好きなAさんは、自分から近くに寄り、話の中に入る様子を見て、私も娘さんもビックリしたのです。見学を終えた娘さんが「今の生活の中では、どんなに自分でできることがあっても危ないからやめて…。やらないで…。と、禁止することばかり。

本人も家族もこれではストレスがたまってしまう。立ち退き後の住処も探すこともできないこと、まだ自分でできることがあるうちに、こういう施設に入所させた方が、母のためには良いと思う。」と私に話をしてくれました。

その1カ月後、Aさんのグループホーム入所が正式に決まりました。

入所後、穏やかな表情が戻った

入所後、1ヶ月くらい経過した頃に、一度グループホームにAさんの様子を見に、訪問しました。施設の中に入り、すぐにAさんの姿を探しましたが、本人の居室にもみんなが集まっている場所にも、Aさんの姿はありませんでした。その後すぐに、職員の方から本人のいる場所に案内をしてもらいました。

Aさんは、他の入所者さんと一緒に、台所で笑いながら野菜を刻んでいたのです。在宅にいた時には、Aさんがどんなに自分で調理をしたくても、火の不始末の危険性が第一優先になり、調理をしない方向で進めてきたのですが、現在は介護のスタッフの見守りの中、調理の一連の家事全てに参加していたのです。

何よりも、Aさんの活き活きとした表情が忘れられません。ここで生活できて良かったと改めて感じたのです。

まとめ

認知症を発症していても、できることはたくさんあります。

しかし様々な危険性もあるため、だんだんとやらせない方向に進めざるを得ないこともあると思います。

今回のAさんのように、在宅での単身生活を継続することは厳しくなった人でも、グループホームに入所し、家庭的な雰囲気な中で、職員と一緒に食事の準備や掃除・洗濯など(本人の得意だったこと)を行なうことで、残された能力が維持できることもあります。

今後も、安全な環境の中で、少しでも不安なく自立に向けた生活が継続できるよう願っています。