まじかいご。

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今も記憶に残る介護の体験~短期入所(ショートステイ)編~

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ショートステイは、在宅で生活をしている利用者さんが、宿泊をしながら必要な支援を受けられるサービスです。短期間の利用になるため、基本的なケアはもちろんですが、その利用者さんの利用目的は様々で、その人の状況に応じた対応や支援が必要になります。

今回は、ショートステイの職場で働く職員に、心に残る体験談を聞いてみました。

長年拒否していたお風呂に入れた!

在宅で認知症状が進行してから、半年近く自宅で入浴ができていなかった70代前半男性のBさん。介護者の妻から、自宅で強い入浴拒否があり、長いこと入浴していない夫を何とかお風呂に入れてもらいたいとの希望があり、初めて1泊2日でショートステイを利用中に入浴を実現するショートのプランが立てられました。

そして入所当日、Bさんの担当になったのが、介護員のFさんでした。ショートに入所した時点から、FさんがBさんの隣で個別対応をしながら、コミュニケーションをとり続けました。

もともと機械を扱う関係の仕事をしていたと聞いていたため、仕事の話をしながら気分を落ち着ける努力をしました。そして、Bさんの表情が穏やかになったのを機に、浴室の機械の不具合を確認してもらいたいと、浴室の中へ入って頂いたのです。

その浴室で、浴槽内や洗い場の蛇口などの点検が目的ということで、そのまま入浴をしていただくことに成功したのです。その日の入浴は、本当に短時間でしたが、約半年ぶりの入浴を終えたBさんの穏やかな表情に、Fさん自身も本当にうれしい一日だったそうです。

あんた達は逃げなさい!

「若いあんた達がまず先に逃げなさい。私達にかまわなくていいから…。あんた達がいなくなったら、私達みたいな人が困るんだから…。」

東日本大震災の時に、ショートを利用中のYさんが介護員にかけた言葉です。あの時、自分達職員よりも利用者さん達の方が、落ち着いていて救われたと話すのは、ショートの職員のKさん。

「自分達は、関東大震災も戦争もくぐり抜けて今こうして生きているんだから、もう怖いものはないんだよ。」とYさんの姿に、ただ涙が止まらなかったのを覚えています。

引き出しの中のお礼のはがき

ショートステイの相談員をしているKさんの話です。

同居の娘さんの仕事の出張で、月に1回、4~5日間ショートステイを利用していたSさん。脳出血の後遺症で、右半身に麻痺が残る中、毎回ショートの利用時には手のリハビリということで、よくノートに字を書いていました。

最初のうちは、線を書くのもやっとの状態でしたが、毎回来るたびに、少しずつ書く線も、力強くなり、そのうちひらがなや数字も書けるようになってきました。

毎回、職員が「頑張りますね。」と声をかけられるたびに「このショートの期間は、私のリハビリにはちょうどいいのよ。」と、言いながら黙々と書く姿が印象的でした。

そのSさんが、いつものように予定の利用期間が終わり、自宅に帰られた後のこと。居室の整理をしていたKさんは、引き出しの中の1枚のはがきを見つけたのです。そのはがきには、「しょくいんのみなさん、いつもありがとう」と、ひらがなで書かれてありました。

毎回字の練習をする中で、友人等にもショート中にはがきを出すのが習慣になっていたようで、その際に自分達職員にも1枚書いて、それを引き出しにそっと入れておいてくれたようで、とても力強い字でした。

Kさんは、今もこのはがきを大事にとってあると話してくれました。

まとめ

在宅で生活をしている利用者さんやその介護者である家族にとって、ショートステイは、とても貴重な在宅サービスのひとつです。またショートステイ担当の職員にとっても、ショートステイの利用者さんは、特養や老健と等の施設入所者とは違い、短い期間の中での援助となります。

毎回定期的に利用される方ばかりではなく、家族の都合や緊急で1回だけの利用で終わる方も多いだけに、利用時にはできる限り不安なくまた楽しく過ごしていただけたらと、在宅でケアマネをする私もいつも願うところです。