介護の転職に成功した事例と失敗した事例を確認
介護の現場で働いている人の中には、転職しようかと考えている人も多くいると思います。実際に転職をして、新たな職場で頑張って働いている人もいます。
しかし、実際に転職してみたけれど、こんなはずではなかったという人の話もよく聞きます。
今回は、転職をして良かった!と思っている人、失敗した…と後悔している人の転職体験をもとに、伝えていきます。
職場でのイジメが原因で転職したAさん
訪問介護の事業所で働いていたAさんの話です。 Aさんは50代後半で、ヘルパー2級の資格を資格取得後、比較的大きな訪問介護事業所に非常勤職員として働き始めました。
しかし、その事業所には大御所と呼ばれる50代後半になるベテランの非常勤職員が数人いて、管理者やサービス提供責任者より職場での力を発揮しているような状態だったのです。正直まわりも困ってはいるようでしたが、それでも彼女たちを怒らせないよう、トラブルを起こさないようにと、みな気を使っていました。
そんな職場の中でも、精一杯自分に与えられた業務を行なう毎日。あまりまわりを気にせずに、ただ淡々と働いていたAさんは、徐々に担当の利用者さんやケアマネからも信頼を得られるようになってきました。
ところが、Aさんのそうした態度が、ベテラン職員さん達には気に入らなかったようで、そこから彼女への嫌がらせが始まったのです。利用者さんの対応や援助方法に至るまで、とにかくみんなで指導と化して否定、中傷するなど、まわりの誰が見てもイジメのような状態だったとのこと。
Aさん本人は、動じる様子も見せず、何の不満も口にすることなく、ただ働き続けていました。
しかし、Aさんのそんな働きぶりをいつも近くで見ていたケアマネの紹介により、他の訪問介護事業所に正社員として転職をすることになったのです。小さな事業所ではありましたが、Aさん本人は、正社員になった今でも変わることなく、淡々と働き続けています。
Aさんの転職は、本人の意思ではなかったものの、今考えてみてもAさんにとっては、あの時転職ができて、本当に良かったと言えるでしょう。
家族の介護を機に、退職しようとしたBさん
長年特養の介護員として働いてきたBさんの話です。50代で独身のBさんは、両親と同居しながら、夜勤等も明るく元気にこなしていました。
ところが、2年前Bさんの父親が突然に倒れ、介護が必要な状況になって以降、その生活に大きな変化が訪れました。今までBさんの日常生活の中では、介護と縁のなかった家庭でしたが、それ以降父親の介護が始まったのです。
要介護度の重い父親の介護は、母親だけではとても不可能なため、思い悩んだ末に一度は職場を退職する決意しました。しかし、父親を担当するケアマネからは、すぐに仕事を辞めるのではなく、可能な限り仕事を続けられるケアプランを一緒に考えていきましょうとアドバイスを受けたとのこと。
また、職場の上司でもある施設長からも、確かに今の職場は、シフト制の勤務や夜勤等があり厳しいかもしれないが、日勤帯だけ働くとか、逆に日勤帯で働ける場所に転職するのなら可能ではないかと。家族やケアマネ、そして職場の上司とも話し合いをした結果、自宅近くにあるデイサービスへの転職をすることに決めたのです。
家族の介護のために退職する道を選ぶ人も多い中、まわりからのアドバイスにより、介護サービスを上手く利用しながら、家族としてできる支援をする道を選んだのです。
一度は仕事を辞めて、親の介護を自分でと決めたBさんでしたが、今回の転職は、BさんにとってもまたBさんの父親にとっても良かった選択だと思います。
たくさんの仕事を要求され過ぎて、転職を決意したCさん
デイサービスの相談員として勤務しているCさんの話です。デイの相談員として配属されているのですが、車の運転はもちろん地域住民とのコミュニケーションをとること非常にうまいため、様々な場で重宝されていました。
そのために、本来の相談員の業務が後手後手に回ることも多々あったようです。当時、Cさんが毎晩遅くまで残業している姿に、気の毒だなあと思っている職員も多くいました。
そんなCさんが、新規に開設するデイサービス事業所に転職を決めたという話を聞いたのは、それから半年ほど経った頃。きっと今度の職場では、今までの経験を活かし、気持ちも新たに相談業務に専念し、頑張っているのだろうと誰もが思っていました。
しかしCさんには、新しい職場でも、本来業務以外の様々な役割はもちろん、地域の行事等への参加などの依頼がしっかり待っていたのだそうです。Cさんのこの転職が、良かったのか失敗だったのかは、Cさん自身にまだ確認はしていません。
とにかく少しでも給与が高い職場を希望して転職したDさん
施設の介護職として働いていたDさんの話です。以前の職場の給与ではとても一人暮らしができないからと、やむを得ず両親と同居をしていました。
しかし20代後半になり、どうしても一人暮らしをしたいという思いが強くなり、あまり考えずもせずに、給与面だけ見て転職をしたのです。確かに給与面では、以前の職場に比べて結構優遇されていたようで、すぐに職場の近くのアパートを探し始めたDさん。
Dさんが希望していたエリアは、みな家賃が高く、結局職場からかなり離れた場所で、念願の一人暮らしをスタートさせたのです。しかし、そこからが大変でした。
施設の仕事には、早番や遅番の勤務がある上に、サービス残業等も多いため、職場から通勤距離のある自宅までの往復にも、すぐに支障が出始めました。
早番の朝は、星がまだ見えている間に自宅を出るのはもちろん、遅番でおまけに残業があった日などは、へたすると終電にも間に合わず、タクシーを利用することもあると…。
結局、転職して念願の一人暮らしは実現できましたが、Dさんは「もう少し色々なことを考えてから転職すべきだった」と後悔しているようです。
まとめ
介護の現場では、本当に様々な理由により転職をする人がいます。しかし、いざ転職をして良かったと思える人ばかりではありません。あまり急いで決めてしまわず、まずは、何故自分は今転職したいのか、またどんな職場で働きたいのかを冷静に考えることも大切です。